くらすひ

おにぎりと、本と、映画と、雑記。

かなしくてかなしくて

7月の終わり頃のこと。京都の「立誠シネマ」が7月末で閉館、そののち移転するということで、見納めをするべく、行ってきました。「何を観よう」と悩んだものの、「この世界の片隅に」にしました。ずっと観れていなかったんです。


映画『この世界の片隅に』予告編

2016年に公開され、観られた方も多いのでは、と思います。立誠シネマのちいさな上映室で、ぎゅうぎゅうたくさんの人と肩を寄せて、じいっと見入った2時間。わたしのこころは、あの時代にとんでいきました。

8月。毎年、お盆の時期が近づくと、やっぱり、戦争のことを考えます。「終戦の日を、今の若い人は知らない」というようなインタビューがテレビでやってたりしますが、「そうでもないよ」とも思います。わたしはいくらでも知りたい、ほんとうに大変だった時代のことを、そこにたしかに生きていた人たちのこと。想像するだけで、ざわざわと皮膚の内側がふるえます。そういう若い人たちは、たぶん、たくさんいます。

広島市から、呉市にお嫁に来たすずさん。軍港の街、スケッチブック、着物を仕立て直したもんぺ、摘んできたスミレの花のお味噌汁、降り注ぐ爆弾。そういう日々が、ほんとうにあったこと。戦争の中で、すずさんは恋をしたし、家族を愛したし、料理をして、洗濯をして、歌をうたい、絵を描きます。そうして、愛する人を失ったり、うちひしがれたり、します。そういう人たちが、ほんとうに、たくさんいたのですよね。

映画を観終わって、シネマの外に出ると、蒸し暑い日本の夏がありました。8月です。わたしのポケットにはスマートフォンがあるし、そこかしこに食べ物があふれているし、京都の大通り、お店と車と行き交う人たち。駅までの道を早足で歩きながら、わたしはなんだか、涙がでてしまいました。

戦争が降ってきた時代を生き抜いた人たちのおかげで、わたしは生まれてきました。敬意を込めて。

 


コトリンゴ 「悲しくてやりきれない」

(音楽はコトリンゴ。かなしくて、やさしくて、うなだれてしまいます。)

さいごに。お嫁に来たすずさんと、その旦那さん周作さんのやり取りが、かわいくてうつくしくてやさしくて、いつまでもいつまでもこの二人を見ていたかったです。あんなにドキドキして泣きたくなるキスシーンはめったにないです。(キャ~)
そういえば、映画評論家の町山さんが「この映画の恋愛面はエロチックなんですよね~、エロチシズムが絶妙なんですよね~」と言っていたのですが、まさに、「わかります!」と挙手したくなります。
愛する人とくらすこと、やさしい口調で話すこと、肌が触れあうこと、守り合うこと、すてきです。周作さんみたいな男の人、そりゃあー、好きになりますよネ。

時代はいつまでも進んでいくし、わたしの明日も続いていきます。ふしぎなきもちです。どうしよう。この映画のことを、だれかと、はなしたいな。