中華料理屋にて
年が明けました。今年もよろしくお願いします。
最近、夏から会っていなかった友人と会いました。遅くなったけど、と誕生日プレゼントに口紅をくれたのですが、「いつもどんな色のやつを塗っているか分からなかったんだけど、元々のくちびるの色が濃いイメージだったから」と彼女はいいます。「なんで分かるの、すごい」と言ったら、笑ってました。とてもうれしかった。
彼女は三人姉妹の末っ子で、とても素直でとても素敵な言葉をくれる友人です。以前、彼女が当時の恋人と別れざるをえなかったとき、わたしはその話をじっと聞いていました。そこは中華料理屋さんでした。彼女のその恋人に対する愛情も誠実さも全部知っていたので、わたしもくるしかったし、それでも何もしてあげられることはないし、「それだけの力を尽くしたのだから、きっとどこかへまたきちんと導かれるのだと思う」というようなことを、つっかえながら言うことしかできませんでいた。
だけど彼女はわたしが話し出すとみるみる目に涙を浮かべて、「ほかの誰に話してもこんなことなかったのに、不思議とかなしくなる。泣けてくる。」と言って、泣き始めました。
もっと、気のきいたことや、根拠のあるようなことを言ってあげられたらな、と思ったのですが、彼女が泣いているのを見ていると、「これからもずっと友だちでいてね」と言う気持ちばかりがあふれてきて、中華料理屋さんのペーパータオルをずっと彼女に差し出すことしかできませんでした。
かなしいときに、それを全部あらわにしてくれて、うれしかったです。
彼女もあの日、小籠包を全部平らげていたから、よかったなと思います。
彼女のくれた口紅はとても綺麗な色です。