くらすひ

おにぎりと、本と、映画と、雑記。

祭りの夜

お祭りの夜、あの独特の空気感を思う。なんとも形容のしがたい、鼻の奥がむずむずしてしまう感じ。たぶん、空気中にいつもと違う成分が本当に漂っていて、それに体が反応してしまうのだと思う。近所の河原、いつも生活をしている場所に、ズラーっと屋台がたち並ぶ。(タコヤキ、焼きそば、わたがし、フランクフルト、とうもろこし、金魚すくい、またタコヤキ。)それぞれに威勢のいいおばちゃん、ヤンキーっぽいおにいちゃん、真っ黒に日焼けしたおじさん。

浴衣を着た若い女の子。クラスメイト同士のグループだと、みんな色味が違う浴衣で目に鮮やか。カップル同士だと見ているこっちが照れてしまうみたいな、甘やかな雰囲気が漂っている。(中学生くらいのカップル、ずっと観察してしまいます。すみません。)女子高生が持っているりんご飴。大きくてまるくて、つやつや。うつくしいなあ、と思う。

PM8:00から打ちあがる花火に備えて、レジャーシートを河原に並べ、みんなそれぞれ日が暮れるのを待っている。わたしは最寄り駅で友人と待ち合わせをして、ずらずらと河原へ向かう人の波に乗り、「何をたべようかな」とキョロキョロ視線を動かした。鉄板からたちのぼるグラグラとした熱気。香ばしいにおい。焼きそばの焼ける音、人々の話し声、だれかの下駄がカラコロと鳴っている。しめった空気、汗をじんわりとかく。「うわーパリパリチーズの列すごい。でも、食べたい」と友人が言った。「わたしたこやきにするから、買ったら基地に戻っているね」とわたしは言った。適当にあいているスペースにブルーのシートを広げて基地をつくった。たこやきを探している間に、見失いそうだった。迷子にならなくて、よかった。

友人がパリパリチーズを分けてくれた。30センチくらいのスティック状のもので、長細いチーズを春巻きみたいなうすい生地で巻いて揚げたものだった。「欲張って6本も入っているやつにした」と友人が言った。おいしくて、パクパクと食べた。

少しずつ、周りが薄暗くなってきた。「暗くなってきた」と、夜が近づくだけでどうしてこうもわくわくしてしまうのか、友人と微笑みあいながら、花火のうち上がるのを待つ。

 

花火がどこから打ち上げるのか、まったくリサーチもしていなくて適当に場所を決めたけど、目の前でとっても大きい花火が見えた。後ろに座っていた中学生も、「えー!こんなに見えるのおー!」と言っていて、かわいかった。(心の中で「ヤッタネ!よかったねえ!」と思っていました。)ニコニコマークの花火が上がると、「あ!ニコちゃん!」といちいち友人の肩をたたいてしまった。三回に一回くらいの割合で、ニコちゃんの後にハートがパッと現れるものがあって、「あー!ハートハート!わ~い」とこれもいちいちテンションが上がってしまう。(でも、そこかしこでみんな同じことを言っているので、うれしくなります。)

フィナーレに向けて、連続でポンポンと花火が上がって、最後はとびきり大きいのが、爆発みたいな音をたてて、視界いっぱいに光がバーっと広がって、まっしろい煙だけを残して、あっという間に消えてしまった。ウワーという歓声と一緒に、自然に大きな拍手が沸き起こると、心の奥がウズウズとする。職人さんに、聞こえているといいのだけれど、と思った。

 

花火の後、友人とチョコバナナを買って食べた。あっという間に帰り支度をはじめた大勢の人たちはいなくなり、屋台の明かりが反射する黒い黒い川の表面をずっとみつめていた。チョコバナナのバナナは中途半端に凍っていて、味がよくわからなかった。でも、見た目は100点満点のかわいさなので、どうでもよかった。つやめくチョコレートの上にとびきりカラフルなチョコスプレー。

 

友人と別れた帰り道。家までゆっくり歩いた。

こうやって夏は今年もゆっくりと、でも確実に、わたしの目の前を通り過ぎている。まだまだ、行かないでほしい。